映像が語る赤ちゃんの心。
産婦人科のドクターは、女性の妊娠中から、出産・分娩に至るまでの管理手助けをしています。
もちろん、対象はお母さんですから、お母さんの安全や快適性を考え、医療の環境を整えてきました。
そして文明が進むに連れて、出産の現場でも色々な対応がなされていますが、
はたして、その環境というものが本当に母子にとってプラスのことなのか、
社会に起きている様々な事件を見るに、原点に帰った妊娠・出産の時からの研究が注目をあびているようです。
なかでも赤ちゃん自身の心の話題が産婦人科医師からでてくる現状を、お母さんたちはどのように理解しますか?
長年、出産時のビデオをとり続けてきた埼玉の産婦人科医師、中島洋先生の話をうかがってみました。
赤ちゃんには心があるんですね。
その赤ちゃんの心はお母さんとのきずなで育まれています。
昔から、赤ちゃんができるとお母さんは赤ちゃんに声をかけ、
赤ちゃんにさわり、見つめあい、母乳を与える様子に変わりはありません。
こうした相互関係を長年出産の現場で見ていると、母子の大切な関係がよく分かってきたんです。
それは、あたりまえのことですが、赤ちゃんにとってはお母さんが一番で、
生まれてすぐからお母さんのそばにいることで安心を覚えていきます。
そばで、赤ちゃんがお腹の中にいる時から聞いていたお母さんの声を聞き、
安心し、その安心する姿を見てお母さんもより深い母性を感じ、
愛情をもって育てていこうとするスイッチが入っていきます。
赤ちゃんに心があるというのは、10年ほど前から家族に代わって
出産時のビデオをサービスで撮りつづける中、
赤ちゃんの表情が私に教えてくれたことです。
出産後、赤ちゃんはお母さんのそばで、お釈迦様の様な顔をするんですね。
この表情が例えば産湯につけるために少し離しただけでも変わります。
最も大切な出産直後に赤ちゃんは分娩時の疲れを癒すかのように、
お母さんのそばでストレスもなく静かに休みます。
そしてしばらくすると手足や口を盛んに動かしはじめ、オッパイをさがし吸い付いていくのです。
このときに、お母さんのお腹の中で育ってきた身体や脳が、
この世にでて、大人の環境の中で心となって表情を変えて反応しているのだと思います。
赤ちゃんの心が教えてくれること。
この表情で、私は赤ちゃんから『生まれてきたすぐの時間をお母さんのそばで安心させてよ』と、
うったえている心を知り、それはあたかも『赤ちゃんがお母さんのもとで成長するスイッチ』と
『お母さんが赤ちゃんを育てようとするスイッチ』が入るのを見守ってね、と言っているかのようです。
そして、これを証明するかのように、このときをストレスなくしっくり過ごす母子は、
その後の育児も健やかに育むことができるんですね。

さて、医師として何をしようか。
この姿は、今までの医学や出産の環境を大いに考えさせる課題を含んでいます。
どうか、お母さまにとっては赤ちゃんの心を受け止める出産をしてください。
私たち医師は、その環境作りに頑張らなければなりません。
がんばれ、中島ドクター
!。