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吉川美智子

私たち50人の出産体験記/シオン発行より


「妊娠です。3か月に入ったところです」

 こう医師からいわれ、大きな喜びと不安に胸をときめかせたのは、もう6年も前のことになります。男の子かしら、女の子かしら、どっちに似ているかな、などと色々な想像に喜びを感じ、反面、五体満足に生まれてくるかしら、陣痛ってどんなかな、などと不安もいっぱいでした。

 幸いにも、私の周りには出産経験のある友人が多く、色々な話を聞く機会に恵まれ、そんな中で友人から勧められたのが、妊婦ヨガでした。お産がとても楽だったこと、妊娠中の不安が少なかったこと、そして体重がすぐにもとに戻ったことなど、女性にとっては喜ばしい話ばかりを聞かされて、考える間もなくヨガ教室へ向かいました。

 その頃、つわりがひどく、自分だけが苦しいような気がして沈みがちだった気分が、先生のお話と指導を受けて帰ってからは、「よーし母親になるゾ!」という自信までわいてきました。

 それまでは何となく外出するのがおっくうになったり、行動が慎重になりがちだったのが、妊婦であるのを忘れてしまいそうなほど、身が軽くなり、10か月しかない妊婦生活を楽しめるようになったのです。これは、今育児をしていく上で、とてもメリットになったと思っています。

 長男の時は38週目の健診日に、そのまま分娩室ということになり、これが陣痛かしらと思う痛みが始まってから、わずか4時間半で出産しました。先生や看護婦の方たちから驚かれるほどの安産。ただ、あまりにも早かったために、主人が病院に着いたのはだいぶ時間がたってからの寂しい出産となり、産まれた直後の子どもの写真を撮ってやれなかったのは今でも残念に思っています。

 これで大役は終わったように思いがちですが、とんでもない。これからが母親としてのスタートなんです。初めて子どもにオッパイを吸われた時、やっと母としての実感をかみしめました。産まれて何日もたっていない我が子が、ぎこちない手つきで抱いている母親の胸に顔をうずめ、一生懸命オッパイを吸う姿は、今でも目に焼きついて離れません。これからはこの子を守っていかなければ、そんな気持ちがこみあげて、涙が出そうになりました。2,746グラムと、今の子どもにしてはやや小さめで産まれた長男ですが、1才になる頃には平均をやや上回るほどに育ち、「お母さん、よくここまで育てましたね」と言われたほどでした。そんな長男も5才になり、逞しく、ちょっぴり生意気な年頃になりました。

 初めての子は、どうしても私たち親の方が神経質になってしまい、物事一つ一つを真剣にとらえすぎてしまいます。たとえば、公園などですんなりと皆の輪にとけこめないと、どうして家の子は………と考えてしまったり、よその子が出来る事を我が子がまだできないと、それを必死になってやらせてみたり………。

 でも長い目で育児ということを考えてみると、まだ自分の力では何一つ満足にできない子どもに、あれやこれやを期待するのは、ほんの一時の親の焦りであって、これから思春期にむかっておこるであろう出来事に比べたら、たわいもないことなのかもしれません。私自身、そのことに気づいたのは、次男を産んでからのことなのです。

 平成5年の1月に次男を出産。女の子じゃなかったことを、ちょっぴり残念に思ったのは事実ですが、可愛さにはかわりはありません。この子の時もヨガに通うのを楽しみにしていました。家に帰ってヨガのポーズをしていると、長男が横でまねをしているのです。思わず笑いがでてしまいます。リラックスのポーズをしていて、ふたりでグーグー寝てしまったこともありました。

 今になって思うと、上の子も一緒になってまだ見ぬ兄弟の成長を見守っていてくれたような気がします。そしていよいよ陣痛、予定日より4日遅れての出産でしたが、これまた1時間40分という早さの超安産でした。我が家は、なぜか出産当日は主人が忙しく、私が陣痛に耐えている姿を主人は一度も見たことがありません。お産は簡単なものだと思っているのではないかしら……?!

 長男の様子はというと、もの珍しそうに赤ちゃんを見ていたり、ちょっと触ってみたり、*ほっぺにチューをし てみたり、反応は色々ですが、なんとなく私にベタベタしてきたりもしました。長男の時は、皆がその子にだけ目を向けていれば、それで幸福という毎日でしたが、今度はふたりに対して同じだけの愛情を注いでやらなければなりません。4才になったばかりの長男は、色々なことがわかるようになってきていて、また、物事に敏感にもなっていましたから、それはもう気を遣いました。とは言っても、親も子も、お互いに感情のあるもの同志ですから、時には腹も立ち、わずらわしく思ったことも、なかったといったら嘘になります。そんな時、主人がとても協力的で、上の子とよく公園で遊んでくれたり、興味のあることを積極的にやらせてみたりしてくれました。時には下の子を私の母に預けて3人で買い物に行ったり、私もなるべく遊ぶ相手をしてやろうと努力したのを覚えています。子どもは思ったことを素直に口にしますから、フッとした時に、「ママ、ボクとカズ君とどっちが好き?」と聞いてきたりします。「どっちも大好きヨ、じゃあハル君はパパとママとどっちが好き?」って聞きかえしてみると、笑顔になって、「パパもママも大好き」と、なんとなく納得したような満足げな顔で私を見つめていました。

 しかし、子どもに気を遣ってばかりもいられないので、家事や育児を手伝ってもらったりもしました。一生懸命にオムツを替えてくれて、もちろん上手になどできるわけないのですが、「上手にできたね。さすがお兄ちゃんだなアー」などとほめてやると、得意げになって、寂しい気持ちなど忘れてしまったようでした。こんなことのすべてが、今となってみると、手さぐりで子育てをしている私たちに子どもが教えてくれて、経験させてくれたことなんですね。ですから、2人目の子育ては、私たちも慣れていますから、ちょっとのことではビクともしないし、手を抜くことも覚えたように思います。手を抜くというより、要領がつかめているので、最初の子の時もこうしていれば楽だったのにな、と思うこともしばしばでした。

 私は残念ながら、今のところは男の子しか育てたことはありませんが、「これからの時代、女の子だから、男の子だからということなく、何でもやらせてみせた方がいいのかナ」と思い、最近では一緒に料理を作ったり、後片づけをしたりしています。1才10か月になる次男も、今では何でもお兄ちゃんのまねをするので、一緒になって、食事が終わると「ヨイショ、ヨイショ!」と言いながら、自分の食器をキッチンまで持っていくようになりました。こんな光景を見ていると、母親として様々なことを経験させてもらい、こんなに暖かい気持ちになれたことを、子どもたちに感謝したいくらいです。

 こうして、出産・育児というものを体験し、今感じることは、母親が子どもに与える影響がいかに大きいかということです。よく、妊娠中にいい音楽を聴いたり、美しいものを見たり、そしておだやかな気持ちでお腹の子に語りかけたりすることは、情操教育にとても良いと言われますが、これは子育てをしていく上でも、とても大切なことなのではないでしょうか。母親がイライラばかりしていたのでは、決して子どもに良いわけがありません。そのためには妊娠中の生活も大切ですし、家族とのコミュニケーションも必要だと思います。が、確かに子育ては大変ですし、かくいう私も、まだまだ手さぐりで子育て奮闘中です。ただいつも心の中にこのことだけは忘れずにいようと心がけています。

 そして少しでも想い出深く、楽しい日々が送れるよう、これからも頑張っていきたいと思っています。

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