ホームはじめての妊娠産婦人科のこと赤ちゃんのこと先輩ママのお話は…妊婦と美容/●サイトマップ

●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●●
●●
●●●
●●
●●
●●
●●
●●









31

大和千春

私たち50人の出産体験記/シオン発行より


 「ひょっとしたら・・・赤ちゃんができたかな?」これが本当のことだとわかったのは、おととしの秋でした。私は、その年の夏に職場を異動したばかりでした。でも結婚して3年たち、年齢も30才でしたので、「仕事のことばかり気にしていては、いつまでたっても子どもは産めない。子どもはできるだけ早くほしい」と思うようになっていたところでした。夫とも話し合い、またありがたいことに職場でも上司や諸先輩からの理解が得られたので、妊娠中も仕事を続け、子どもが小さいうちは育児休暇を取り、今年の4月に職場に戻り、今も仕事を続けています。

 妊娠中つらかったのは、やはりつわりの時期でした。職場では座って仕事をしているのでよいのですが、通勤のとき満員電車に乗ると、気分が悪くなりました。時差出勤をして、なるべく電車が空いている時間帯に乗るようにしたり、通勤経路を変えたりして、つらい時期を乗り切りました。また休日は、夫が親しい友だちを家に招いて、みんなで夕食を食べたりしたので、楽しい雰囲気の中で、ひととき気分の悪さを忘れられました。

 私は妊娠する前から、休日にヨガを習っていたのですが、産休に入ってからは、マタニティーのヨガに通いました。教室に通うのは週1回でしたが、体を動かし、お腹の赤ちゃんと自分のために良い食事を考え、健康を考える良い機会になりました。おかげで体調もよく、妊娠中に太り過ぎることもなく、出産もとても安産でした。またヨガで習った呼吸法は、出産のときにとても役立ちました。 出産した日から、子どもについての日記を書き始めました。子どもが1才になるまでの記録と、私が感じたこと、考えたことを残しておこうと思ったのです。とかくものぐさな私ですが、この日記だけは日記帳が1冊書き終わるまでなんとか続けられました。あとからこの日記を開いてみると、子どもが小さかった頃の私は、ずいぶん些細なことで悩んだり、心配したりしています。

 産まれた直後の啓太郎は、母乳を飲むのがへたで、いつも吸うときにチュパチュパと音をたてていました。また飲み終わるといつもしゃっくりをして、なかなか止まりません。それから、母乳と一緒に空気を飲んでいるのか、眠っている間にうーん、うーんとうなります。これらはみな、小さい赤ちゃんにはよくあることなのですが、こんなことのひとつひとつを、とても心配していました。最初の頃は、ほとんど毎日これらの心配事で日記が終わっています。

 これらが一段落すると、啓太郎は今度は涙腺炎(新生児にしばしばみられる目の病気)という目の病気になりました。近所の病院では直せず、家から離れた大きな病院まで何回か連れていきました。目から鼻にかけての涙の通る線に、針金を通す治療をするのですが、治療のときにひどく泣くので、かわいそうでたまりませんでした。

 それでも、啓太郎はこの時以外には、病気らしい病気をしたことはありません。このことは、親である私にとっては、とてもありがたいことだったと思っています。もし啓太郎が病気がちな子どもだったら、私は毎日子どもの健康を心配して過ごさなければならなかっただろうと思います。日記も病気のことで埋めつくされていたことでしょう。啓太郎を家族に迎えての生活が落ち着いたら、こんどは保育園探しが始まりました。

 育児休暇後に職場に戻るためには、啓太郎を預ける保育園を決めなければなりませんでした。しかしいざ探してみると、我が家のある区の公立の保育園では、歩いて通えるところはなく、隣の区の保育園を探したり、通勤途中にある保育園を探したりと、意外に大変でした。結局10か所近い保育園を見学し、職場に近い私立の保育園に入れることにしました。啓太郎が4か月になった去年の10月から探し始め、保育園を決めたのは結局今年の3月。その間、保育園を見にいくたびに、「〇〇保育園は、こういうところはいいが、こういうところはマイナス要素だ」などということが日記に書かれています。

 やっと決めた保育園に子どもを連れていった初日、「私から園長先生に抱っこされたとたんに泣き出したので困ったが、振り切って園を出た。離れている間、気になって仕方がない」と書いています。10か月になるまでずっと一緒にいたので、子どもと離れての生活が、とても後ろめたく思われました。

 1年間書いてきた日記を今改めて開いてみると、ずいぶんいろいろなことがあったなあと思うと同時に、それらの出来事がすでにとても昔のことのように思われます。今、子どもは1才3か月ですから、実際にはついこのあいだのことのはずなのですが、まるでもう何年も前のことのようです。きっとそれは、子どもの成長があまりにも早く、またそれにともなって起こる出来事があまりにも多かったからなのではないかと思います。子どもはどんどん成長するので、次々に起こる出来事は、その時々では困ったり悩んだりしますが、すぐに忘れてしまいます。でも日記に書き残した出来事は、日記を開けるたびによみがえります。何度も面倒になって途中でやめてしまおうと思った日記でしたが、今では最後まで書き終えて、本当によかったと思います。

 今、職場に戻って、そろそろ半年になろうとしています。当初は保育園で保母先生に引き渡すたびに、火がついたように泣いていた子どもも、今では自分から私に向かってバイバイをするようになりました。仕事と家庭の二重生活も、どうにか軌道に乗りつつあります。どうにかここまでこられたのは、夫といろいろなことを話し合って協力をしてもらい、また職場でも皆に協力してもらっているからだと思います。日記を書いていたせいで、周りの人々の親切や協力で自分の生活が成り立っているのだ、ということも気づかされました。

 もし次に、再び子どもを授かることがあったら、そのときもまた育児日記をつけようと思っています。そして今度は、あっというまに成長してしまう子どもの日々をもっと大切にしながら、子育てをしてみたいと思います。

◆indexへ

UP

Topページからご覧下さい

Copyright2003 Cion corporation AllRight Reserved