野沢菜、鳩車のふるさととして知られる長野県野沢温泉。
昔ながらの趣を大切にした温泉が数多く点在し、風情あるその町並みは、訪れた人の心を和ませます。
温泉街から足をのばせば、広大な自然の中でのキャンプやゴルフ、冬はスキーなど楽しむこともできます。
数ある祭りの中で、日本の三大祭りとして数えられる道祖神火祭りは、正月の神送りや豊作祈願、良縁安産などえお祈願します。
毎年1月15日頃、道祖神場で盛大に行なわれます。
そんな中で、男児の初子が誕生すると、健全な成長を祈って、村中の人が祝う行事があります。
柱の高さが約9mもある初灯篭を、近所の人や親戚中が集まり、こしらえるのです。
上は杉の木、下は楢の木を使った、オンベ竿という柱を作ります。
2本をつなぎ合わせ、この柱の最上端には御幣を立て、その下に傘、家紋の入った垂幕、その中に風鈴をつけた丸低提灯と白扇や瓔珞(ようらく)を吊るします。
次に菱灯篭、その下に柳灯篭を下げ、一番下には近所の子供たちが書いた書き初めを下げて出来上がりです。
1月11日には灯篭は仕上げられ、灯篭まるめといって、近所の人や親戚中の人が集まり大宴会をします。
1月15日の道祖神祭の日には、灯篭を分解して、大勢で道祖神の歌を歌いながら祭場へ運びます。
午後6時過ぎになると、道祖神場は多くの見物人でいっぱいになります。
見どころとなる火付け、火消しの攻防戦は圧巻です。
社殿に日を投げつけるもの、これを消そうとするもので、もみ合いがはじまり、そのうち顔は煤で真っ黒。
社殿が燃え上がり、初灯篭も次々と火炎のなかへ投げ込まれ、いよいよフィナーレ。
火力も増し、赤々と燃え上がるころ、爆音と共に願いを込めた道祖神歌が聞こえてきます。
“めでたく建てた 命あるなら来年も また来年も 命あるなら来年も”野沢温泉で生まれた長男は、たくさんの人たちに祝ってもらうので、日本一の幸運者だといわれています。


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