宮城県涌谷町…そこは日本ではじめて黄金が発掘されたことで知られ、黄金神社をはじめとした神社や遺跡が数多く点在する、歴史のある町です。

この涌谷町の北東にある箟岳(ののだけ)の無夷山箟峯寺の山祭りは、古式に則って、数百年以上も昔から続いてきたたいへん歴史のある、全国的にも珍しいお祭りで、県の重要無形文化財にもなっています。

このお祭りは、なんと正月を中心に約一ヶ月間行なわれますが、その最終日の前日、正月25日にその年の天候・作凶を、二人の稚児が弓を引いて占う御弓神事が執り行われます。

当日は、午前中に観音堂で五穀豊穣の祈祷が行なわれ、午後、箟峯寺白山堂前に移動し、白米を臼で挽いたものを白山様に奉納する『オシトギアゲ』という行事を済ませます。
これらが終わると、いよいよ二人の幼子の出番。

御弓神事が始まります。

三角形の、かわいらしい烏帽子を、ちょこんと頭に乗せ、鮮やかな色合いの直垂を身にまとった二人の稚児が登場します。
二人は、住職に手伝ってもらいながら、交互に12回、うるう年なら13回、ノタケ(矢柄竹)で作られた矢を的に向かって射ます。
そのあたりはずれで、その年の天候や作凶を占います。

大勢の観客が見守る中、ちょっと緊張しながら弓を引く稚児の表情は、真剣そのもの。
左手で弓の握りを、右手で矢をしっかり持って、ねらいを定めます。

大晦日から始まるこのお祭りは、この後、夜通し観音堂でお勤めが行なわれ、26日未明、祭りの『当番(責任者)引き渡し』の行事で、幕を閉じます。

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