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これからの医療&不妊治療
〜自分の遺伝子を残したい〜

栄光産婦人科院長

光部啓一 先生

BeMam vol.000

これからの医療

 これからの医療は、患者さんが病院に症状が出てから来るのではなく、病気になる前に、そのもとを見つけて対処するのが重要だと思います。患者さんが自分で病気だからといって病院にかかる保健医療より、検診医療の方がよいのではないかと思います。

 出産や育児の場合でも、知識を補う意味もあり、私の病院では保健指導室を設け、助産婦さんが妊婦の方にマンツーマンで指導をしています。主に体重測定及び採尿、あとはできるだけ母乳で育てようという目的で母乳管理などの指導をしています。市でも保健センターで母親学級のようなカリキュラムをプログラムしております。今の時代ですからたいていのことは本や雑誌を読んでもわかるわけですが、それでもわからないこと、気になることはマンツーマンで相談にのるといったスタイルをとっています。

 また3年程前からは、厚生省の指導にもとづき骨粗鬆症の恐れのある更年期に近い方達の骨量の測定、運動や食事の指導など健康管理も一環として行なっています。診察までの待ち時間を有効に過ごしてほしいという気持ちから始めた保健指導室ですが、その機能は予想以上の効果あるものでした。

不妊症

 次に、不妊症の問題があります。今、女性の初婚年齢が平均26歳後半で、それから2年位経っても子どもかできないと病院に相談に来る。そこから計算しても不妊症の方というのは10%位ではないでしょうか。その方たちは、体外受精をしない病院では不妊症の治療をしていないのだと思っているようです。数年前、ある先生のところに患者さんが新聞の切り抜きを持ってきて「先生、顕微受精やってますか?」と質問したそうです。「今まだ試験的な段階なので、していません」と答えたところ『遅れているのね』といった表情をなさったそうです。一般に、ある情報が流れると全てそれらが自分に関係することだと認識されがちです。記事を読む側というのは、常に自分を中心にしてそのことを受けとめる訳ですから、気をつけなければなりません。不妊症と診断されると(ああ、私は体外受精や顕微受精をしなければ妊娠できないのか)と、先程の患者さんのように訪ねてこられるわけですが、まず一般的な診察及び治療をし、必要に応じて体外受精を行なっている病院を紹介しています。私のところでも、ご主人の精子が少ないとの理田で、人工受精をしたもののなかなか妊娠しなかった方に顕微受精を紹介しましたが、その後、無事妊娠・出産に成功し、先日一か月健診で来院した例があります。

自分の遺伝子を残したい

 それから近頃の若い方たちの結婚に対する意識ですが、すぐに子どもが欲しいということではなく、好きな者同士、気ままな生活ができればいいんだという考えの方が多いように思われます。けれども生物が誕生して以来ずっと続いてきた生命の絆、遺伝子の組み合わせは誰一人として同じものはないわけですから、自分が今ここに存在するという意味を認識し、次の世代を残そうとした時、そのために結婚があるという考え方もあります。多様化してきた現在ではシングルマザーという方もいますし、アメリカなどではすばらしい精子だけを提供する精子バンクもあります。

 また、最近では、今はまだ人間には使用できない手段とされていますが、羊を例に体細胞からクローン(遺伝子を継いだ複製生命体)を造ったケースなどでは、人間に置き換えれば睾丸や卵巣のない方でも次の世代を残せるという可能性があり、今後必要になってくる方法だと思っています。

 とにかく生命の絆を次の世代に残すのだという意識を強く持ってほしい。私自身もそれを哲学に医師をしておりますので。

● クローンの注目度

 昨年、イギリスのエジンバラ郊外にあるロスリン研究所の研究チームが、羊のクローンを作り出すことに成功した。成長した高等動物の体細胞から一匹丸ごと複製されたのは初めてのことで、人間のクローンの現実化も夢ではない、と世界中に話題を振りまいたのは記憶に新しい。

 クローンとはギリシャ語で「小枝」の意で、一本の木の小枝は、すべて遺伝的に同じ資質を持つことから命名された。挿し木で同じ花が無数に増やせるように、植物のクローン作りは昔からあった。動物のクローン作りには、「受精卵の細胞(胚)」を使う方法、「体細胞」を移植する方法がある。

 体細胞の「核移植」という技術で作られたクローン羊の製法は、まず、移植先の細胞として子宮から未受精卵を取り出し、顕微鏡下でその核に含まれるあらゆる遺伝子を取り除く。次にこの細胞に別の細胞核(大人の羊の乳腺細胞から採取)の新しい遺伝子を移植する。同研究所の実験では、この核移植で277個の受精卵を作ったところ、29個が正常に成長し始め、1匹だけ複製羊が生まれたということだ。

 この羊のクローン技術は、今すぐに他の動物への応用が効くというものではないが、理論上は人にも応用が可能で、何の規制もなく進められれば、近い将来実現が可能とも考えられる。

 人には、本来、自分の遺伝子やコピーを残したいという欲求があり、また知的好奇心や探求心がある以上、研究が進められるのは必至のことと考えられており、倫理的問題も含め、各国でその対応が緊急に図られている。

 が、この技術の素晴らしい点は、事故などで不幸にして生殖能力を失った人や不妊症などへの応用、そして人間から細胞を取り出し、それを細分化させて病気の治療に役立つ細胞を作り出すこと、あるいは臓器ごとのクローン製造など臓器移植への応用の可能性と、多大なる注目を浴びている。

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