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出産のよろこび

三上産婦人科院長

三上信治 先生

BeMam vol.000

二人の出産

斉藤茂吉の歌に●「をさなごは畳のうへにたちて居り、このをさなごは立ちそめにけり」の一首があります。

 生まれてはじめて立った子の姿を見た時のこみ上げてくる喜びが生き生きと伝わってきますが、この何十倍もの深い感動を赤ちゃんを産んで母親になった瞬間のお母さんの涙に見ることが出来ます。立ち会った私もそのお母さんの姿に胸が熱くなりますが、40年をこえる産科医生活で、たくさんのお産になれているはずなのに、毎回はじめて立ち会ったようなみずみずしい感激を覚えます。

 フランスのラマーズという産科医が妊娠とお産の仕組みを妊婦さんとそのご主人に分かりやすく教えて理解させ、お産が始まったら独特な呼吸法と補助動作を陣痛にあわせて行なわせ、ご主人も分娩室に入り、妊婦さんの手を握ってはげまし、麻酔薬を一切使用せずに自分たちで大切な我が子を産むといういわゆるラマーズ法が普及し、ご主人がお産に立ち会うようになりました。

 はじめは消毒の知識にうとい素人の男性が、我が妻の陣痛に苦しむ姿を見てとり乱し、分娩の邪魔になるのではないかと心配しましたが、結果はその逆で、妊婦さんと一緒に汗を流してはげまし、無事赤ちゃんが生まれた瞬間、涙を流して喜び、妻の手をとってよく産んでくれたと感激し、畏敬のまなざしで妻を見、歓喜の笑顔で我が子を眺めます。

 その後の育児でも人生で最大の偉業を成しとげてくれた妻へのいたわりが協力の形でいたる所に出るようで、お産は男にはかかわりのない事といっていた時代の夫とは大いに違ってきたものを感じます。

妊娠前からの勉強

 このようにお産は人生における最高で崇高なドラマですが、すべてのお産がこのようにつつがなく終わるわけではありません。

 少数ではありますが、流産や早産で赤ちゃんを失ったり、時には胎盤早期剥離や弛緩出血などの致命的な病気を起こしてお母さんまでが死亡してしまうこともあります。また進歩した近代医学のおかげで赤ちゃんの命はやっと助かったが障害を残したまま成長するという不幸な場合もあります。

 こうした不本意な事態を避けるにはどうしたら良いのでしょう。それは生まれてくる子への重大な責任を意識して、妊娠中はもちろん、妊娠する前から勉強することです。家庭で産婆さんがとり上げていた昔と違って、今はこの「ビーマム」の様な妊娠、お産、育児についての分かりやすい指導書がたくさん出ていますし、産婦人科の病院、医院、保健所などで「マザー教室」を定期的に開いて懇切丁寧な指導をしてくれています。

 妊娠前からの勉強と言いましたが、『タバコ』を例にとって説明しましょう。若い女性の喫煙者が増えております。「妊娠した時、赤ちゃんに悪いよ」と禁煙をすすめますと、必ず「妊娠したら止めます」と答えます。しかし月経が遅れて診察を受け、妊娠と判明した時にはすでに2か月で、それからあわてて禁煙しても一番ニコチンの影響する妊娠の初めに吸っていたわけですから遅かったということになります。

 また、性の開放の時代になって結婚前の性交渉が広がり、ある統計によると未婚若年者の二人に一人が性交経験を持つとのことです。それに伴って性行為感染症(STD)が若い世代に急速に広がってきていることは毎日産婦人科診療をしている私も切実に感じて、おります。そういう病気で治療に来た20才前後の患者さんに、淋病とは?梅毒とは?ヘルペスウィルスとは?と質問しても半数の人はまったく知っておりません。

 HBウィルス、クラミジア、サイトロメガロウィルス、成人T細胞白血病ウィルス等、エイズも含めていずれもお母さんから胎児に感染する危険を持つこれらの病原微生物の恐ろしさを学校できちんと教える必要性を痛感しております。

 こうした性行為感染症の増加は、妊娠中に未熟児を出生する大きな原因の一つである前期破水を起こすもとになります。これは陣痛が出ないうちに赤ちゃんのはいっている卵膜が細菌に負けて弱くなり、自然に破れて羊水が流れ出てしまう病気ですが、これが妊娠8か月や9か月に発生すると、発育の不十分な赤ちゃんが産まれる早産になってしまいます。そして生まれた赤ちゃんが呼吸できなかったり、脳の中に出血を起こしたり、なんとか呼吸しても数日して肺炎や脳髄膜炎を起こしたり、更に敗血症になって死亡したりしますし、時にはお母さんも産褥熱になって危険に陥る場合もあります。

大切な定期健診

 現代の小児科学の驚異的な進歩のおかげで、昔は決して助からなかった体重がわずか1000g、どうかすると700gの極小未熟児でも保育器の中で無事に成長してゆく例が多くなってきていますが、小さければ小さいほど何らかの障害を起こすリスクが当然高くなります。

 ですから、妊娠中はきちんと定期的な診察を受けて、感染症があったら早く治療しておくことが必要なのです。

 この前期破水の話は、知識があれば予防できる妊娠中の病気の一例ですが、この他に妊娠中毒症、多胎妊娠、逆子、RH血液型、体重のコントロール、貧血、陣痛異常、児頭骨盤不適合、食事のことなど、まだまだたくさんの注意や問題があります。しかし、それらの問題も勉強して知っていれば予防したり、対処したりすることができます。無知が一番恐ろしい敵だと心配しておりますが、「ビーマム」を読んで勉強されるほどの妊婦さん方は「案ずるより産むが易し」を実感されるお産になるに違いないと確信しております。

 さらにまた、お産が終点ではなく、そこから素晴らしい新家族を迎えての子育てが始まります。

 核家族化時代ということで、祖父母の知っている賢い子育ての知識を活用できなくなったと嘆く声を聞くこともありますが、先人の知識がみな正しいとは限りません。発熱でぐずっている赤ちゃんを癇が強いとか、虫を起こしたとか云って虫切り薬と称する民間薬を飲ませて放置し、高熱になって熱性けいれんを起こしてからあわてて来院し、それでもなお、虫を起こしてひきつけたと言っていた老人たちをたくさん見てきた私は、あの頃にはなかった良い育児の本が多数出版されている現在の方が子育てでもはるかに進歩していると思っております。

 ご両親の深く純粋な愛に包まれてさえいれば、小さな天使は立派な人に育ってゆきます。また逆に、たまにそんな天使が親を教育してくれながら。

お母さまへのお願い

 最後に私から読者のお母さま方にお願いがあります。先程もちょっとふれましたが、同じお産でも不運な星の下に障害を持って生まれ、生涯つらい道を歩まなければならない子どもさんも居られます。この子たちの支えに少しでもなれたらとの願いから全国の産婦人科医が力を合わせて日母おぎゃー献金基金を作って活動しております。健康な我が子の誕生に躍り上がった喜びの一端を愛の献金としてこの子たちに分けてやってください。今産まれた愛おしい天使が成長した時、きっと喜んでくれると思います。

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