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産科学と自然分娩

川嶋産婦人科医院院長

川嶋利哉 先生

BeMam vol.000

 医学というのは自然科学ですから、理屈に合った筋道がなければなりません。いまどきの分娩に関しては、「自然分娩」が、はっきりした定義がされないまま、言葉だけひとり歩きしているような観があります。イメージ的には、下から普通に出産できれば、それを自然分娩と言うことでしょう。ですが、お母さん方もあまりその意識を高め過ぎ、すべて「自然に任せて」ということになりますと、お産する1000人のうち、60人が死んでいた江戸時代から昭和初期の状況にもどってしまいますね。

 ところが、ジャーナリズムがしっかりした本筋を伝えずに、一部のことだけを伝えるためなのか、お母さんにとっても、医師にとっても非常に筋道が違って思えることがあります。

 たとえば、人は動物の中でも感染症に弱いとされていますが、感染が心配されるようなスタイルでの出産方法が、とくに話題にされる。また、赤ちゃんが大き過ぎて出にくい時、陣痛誘発剤を使うことは少しも悪くないことなのですが、陣痛誘発剤そのものの使用まで誇張され、非難されたりするとか。その他。

 一般的にいって、アメリカの産科学はたいへん進んでいます。それはなぜか考えてみますと、人種が多いから、いろいろなパターンのお産の豊富な経験が蓄積されるんですね。たとえば、その中には「ものすごく体格の良いご主人にものすごく小柄な奥さん」という組み合わせもあるわけです。そうしますと、どうしても赤ちゃんは大きくなりますから、難産になるケースが多く、その対応がしっかりできていく。

 また、国土が広く、病院まで行くのに半日も一日もかかるということから救急体制も発達する。そのようなことで、非常に産科学が進んだんですね。

 それから、痛みに対しても日本人のように我慢することより、感情あらわに痛い痛いと大騒ぎをするから、産科麻酔が進んで来るわけです。

 結局、アメリカの産科学というのは、産科麻酔と医療分娩が双壁となって進んできたんですね。

 日本でも、我慢するという考えがだんだんなくなってきていますから、これからは幅広く産科麻酔も必要になるんじゃないでしょうか。

 それから、会陰切開を非難される方がいますが、大きな赤ちゃんが狭いところから出るのに支障があれば、赤ちゃんを小さく縮めることはできませんから、道の方を開いて広げてあげようという当たり前の考えなんですね。

 昔ですと、会陰切開をしないことによって子宮脱障害が出ていたケースもあります。手術後が痛いと言っても、いつまでも痛いわけではありませんし、裂傷を起こしたりするより、切って縫った方が、元に近い状態に戻ると、ぼくは思っています。痛みに関しても和らげる方法がありますから、そこは産科の医師の工夫でしょう。

 要するに、産婦人科の医師というのは、産科学のあらゆる知識を駆使して「いちばん安全な時期に、安全な方法で赤ちゃんを出す」ということが義務だと思うんです。

 だからこそ、お母さん方には医師を信用していただきたいですし、今の産科の医師には、どのような時に、どのような人工的な何か(医療診療)を加えるのか、しっかりした判断力を持ち、しっかりと説明をすることが求められているのですね。

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