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理想のお産 お産のやじろべえ

済生会宇都宮病院産婦人科医長

飯田俊彦 先生

BeMam vol.000

お母さん方の要望にあった病院づくりを

 私たちの病院では、現在、妊婦さんが望む分娩のスタイルを、それぞれの要求に合わせて受け入れられる環境づくりを推進しています。

 というのも、当病院は、新しく建設されて2年がたちますが、それまでは、町の中心地にあり、施設は老朽化し、妊婦さんがどんどん減っていたことから、病院サイドとして、どの様にしたら妊婦さんを増やせるかが課題となっていたんです。その問題を考えたとき、看護婦さんや助産婦たちが色々な施設を見て歩き、それらを参考にしながら病院の内容を変えていこうとしたのがきっかけとなったのです。

 妊婦さんが減っていく現状が、果たして建物だけの問題なのか、つまりハードなのかソフトなのかも検討材料になっていましたが、医師としてソフトの部分を見ていった時、今まで我々が大学で産科の常識と思っていたことが、案外、妊婦さんにとっては受け入れられないことがわかってきたんです。

 そして、世の中には色々な人・施設があって、たとえば分娩の体位を自分の楽な姿勢でお産しようとするフリースタイルのような分娩もあり、お産にも、今の時代では広がりがあるのだとわかりました。また、それを要求する妊婦さんたちがいるということから、お産を画一的なものにしないで、色々な要求に応えていけるものをつくっていったなら、病院も妊婦さんに選択される施設になると考えたわけです。

 考えてみても、妊婦さんは病気じゃなく、皆さん健康な方です。しかも、昭和40年代の物が豊富にある時代に生まれ育った若いお母さんたちにとっては、お産というのは、一生に1回か2回しか経験しない一世一代の画期的は大事業なんです。

 それぞれのお母さんの価値観が多様化している中、お産への積極的な意気込みがある人もいれば、先生まかせの人もいらっしゃる。安全を第一に考える人もいれば、この一大イベントを美しく感動的なものに演出したいという意識の方も多くいらっしゃる。その中にも、お産での苦労は嫌だという方もいらっしゃる。

 そのようなことから、お産の方法も、管理分娩の典型である無痛分娩から、医療の介入を拒んだ自然のなすがままのお産まで選択の幅がいろいろあります。無痛分娩にしても、薬物を使うものから、ラマーズ法だとか、リーブ法、ソフロロジー法とか、幾通りかあって、それら全てに応えていくためには、病院側はものすごいエネルギーがいるんです。でも、できるだけたくさんの品揃えをしておけば妊婦さんも自分に合った希望の分娩スタイルが選べるわけです。そのようなことから、私たちの理想は、まだ道半ばですが、いわば『分娩のデパート』であるともいえるわけなんです。

今どきのお母さんのお産への取り組み

 人間は有史以来、お産というのは、地域・民族を越えて医療が介入する以前は、本能的に座産か、立位分娩(立ってのお産)だったらしいんです。それが医療が介入しはじめると、胎児の心音をモニターするなどの医療に都合の良い、仰臥位分娩が必要になってきました。そのおかげで相当数の赤ちゃんの命が救われ、周産期死亡率の低下に寄与した事も事実です。その反面、妊婦さんが自力で分娩するという機会を奪ってしまったという側面もあります。

 最近、女性が本来の、母親の権利に目覚めて、自分の分娩に対する意見を言いはじめ、もともと女性は自力で産める力を持っているんだから、自力で産んでやろうとする人が増え、これが今のアクティブバースであるとか、フリースタイル分娩であるとか、水中分娩につながっています。

 医者であれば患者の要求に応えてあげたいし、応えてあげられない自分の技術の未熟さを案外さみしく感じるものなんです。たとえば患者さんが、こういうことをして欲しいと分かった時、「自分はその技術を持っていない」とわかった時の寂しさ、そして、他の病院に紹介状を書く時の淋しさを感じることがよくあるんです。

 と同時に、その要望に応えてあげたいという意識を優先させてばかりいたのでは医療の原点から外れ、安全性に欠けてしまいますから、そのバランスが、たえず難しい問題となってきます。

 その中で、当病院の様な総合病院でいろいろは妊婦さんの要望に応えようとするのは、基本的に安全性はすでにベースにありますから、その上にスタッフがディスカッションを重ねては、少し冒険をして、最初は側臥位分娩から、やがて水中分娩までと、徐々に受け入れ体制が広がっていったわけです。

 もともとその様なスタイルでの出産を希望する人は、ファッションでしようというよりも、お産そのものに思い入れがあって、本人もある程度勉強されていて、世の中に対しても問題意識を持っており、インテリジェンスも高いという妊婦さん像か浮かんでくるんです。

 実際には、私のところでは70人に2〜3人程度の割合になりますが、その人たちの意見こそ、将来のお産を変えて行く可能性を持っていて、意味のある発言をされる方なのです。

理想のお産 お産のやじろべえ 

 この様なことを考え合わせても、理想の分娩とは、まず安全性が高いことが要求されます。そして、私たちは『お産のやじろべえ』と呼んでいるんですが、その土台となる部分が環境、つまり建物や医療器具などのハードの部分です。やはり衛生的で明るくて、器機が揃っている、というお産の環境をまず提供することです。これには、妊婦さんも医療スタッフも異論のないところです。

 そして、やじろべえの本体となる二つの部分が、安全性と満足度ということになります。でも、この二つは時として両立しないことがあります。どちらかが上がって、どちらかが下がってしまうことがあるからです。

 たとえば安全性をとことん追求すれば、行き着くところ全員が(麻酔の問題もありますが)帝王切開です。100%近い割合で赤ちゃんが生まれるからです。しかし、安全性が得られれば満足かといえば、必ずしもそうではないんです。自分の力で産んだんだという充実感がなければ、満足は得られないということもあり、今度は満足を追求すればするほど医療から離れていってしまうからです。

 以上のことから、理想の分娩とは、高次元で、この三つが融合されたもの、つまり、環境が整っており、安全が確保され、かつ満足が得られるという分娩が考えられるわけです。

 では、現在行なわれている分監装着の仰臥位分娩がこれら条件を全て満たしているかというと、答えは『ノー』でしょう。だからこそ、私たちは試行錯誤の上でその理想のスタイルを追求して止まないんです。

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