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女の人が
『子どもを産んだのだから、すぐに子どもを育てられる』
と思うのは間違いなのです。  
●赤ちゃんから始まるもの●妊娠中、気をつけたいこと●母性のはじまり●母性と本能
●母性は条件によって揺らぐもの●母性を引き出す赤ちゃんのかわいらしさ●育児のはじまり
●育児がうまく行かない女性には周囲のケア●赤ちゃんとの出合いを大切に●制約のある人たちへのサポート
●赤ちゃんは五感の刺激で感性豊かに●赤ちゃんには自分で育つ能力が!●それでも赤ちゃんは野蛮人
●育ててゆく信頼関係●赤ちゃんを認めるって?●育児は長く続くもの
    お話のナビゲーター 日本小児保健協会会長 前川 喜平  先生               


いったい母性は、いつからはじまるのでしょう   BeMam MESSAGE 創刊号 特集より               

妊娠・出産・育児のはじまりは人生の起点で、そこから長い子育てが始まります。妊娠中、そしてお子さんが成長する段階にはさまざまな愛情、心の管理やケアが必要となってきます。それを簡単に順をおって見ていきましょう          

男性と女性が結婚して妊娠します。妊娠が先のケースもありますが、大切なことは、その妊娠が親の望むものであったかどうかです。今回の話は望んだものとしての話です。そうでない方はそう思えるかを確認してください。

妊娠したときから始まるといっていいでしょう。産まれてくる子どものことをいろいろ期待して健やかに過ごすことが一番です。妊娠中は、不安がらないで快適に過ごしたいですね。(初めは不本意な妊娠でも、途中で状況がかわれば、それでもよい)子育ては妊娠中からはじまります。
実際に子どもを実感するのは胎動ができてからです。お腹もだんだん大きくなってきて、胎動が感じられると、早く自分の子どもが見たいという期待感も高まってきます。その気持ちが妊娠後期にピークになって赤ちゃんを迎えることになります。

出産のときに大切なこととして、お母さんと赤ちゃんを接触させることがあります。
これまではお産をすると疲れるので、子どもをすぐに離していたケースもありますが、出産のときにお母さんが赤ちゃんと接触することで、それからあとの二人の関係がうまくいくのです。

本能は条件のいかんに関わらずだれもが持っているものです。
では母性は本能か?
いえ、母性は条件によってはうまく発動しないため純粋な本能ではありません。いわば条件づけ本能であって、女性が子どもを産んだのだから、すぐに子育てができると思うのは間違いなのです。

赤ちゃんは生後5日以上たつとお母さんの匂い、呼び声に特別に反応するようになります。お母さんが赤ちゃんの目を見ると、赤ちゃんもお母さんの目をみて、お母さんが「かわいいわね」と声をかけると、赤ちゃんも口をモグモグしたり、お母さんが舌をだすと赤ちゃんも舌をだす、といった摸倣動作がでてきます。
お母さんが赤ちゃんを抱くと、振り向いたりするのもお母さんの匂いでわかるのです。
お母さんはそういう赤ちゃんを見て、自分が頼られているということを自覚し、かわいいと思う感情を抱きながら育児をします。

育児のはじまりは子どもがかわいいと思うことから。
かわいいと思う気持ちがあるとミルクをやったり、あやしたり、オムツをかえたり寝かしたりして、育てなくちゃという気持ちになります。
女性に対して、そういう感情を起こさせるテクニックが赤ちゃんには生まれつき、遺伝子に組み込まれているといっていいでしょう。
お母さんも子どもを育てたいというエネルギーを持っていて、それが赤ちゃんをかわいいと思う感情をうまく引き出してくれます。
これが新生児期の母と子の相互作用です。新生児期はただ産んだからといって赤ちゃんを放っておいてはだめなんです。そばにいてかわいがってあげることが大切です。

いろいろなお母さんがいるため、中にはお母さんのきっかけをうまく引き出してあげるよう介添えをする人も必要です。ドナーなどの名で呼ばれている人たちですが、お母さんと赤ちゃんのよい出会いのため介添えをしています。
日本では、助産婦さんや保健婦さん、熟練したベビーシッターさん、産婦人科・小児科の医療スタッフらが、その役目をしています。

今の周産期医療は、お産の安全だけが目的ではなく、分娩以外にお母さんと赤ちゃんの出会いをうまく行うためにも配慮されています。
アタッチメント(ふれあい)といい、早くからお母さんを赤ちゃんに接触させて母性を誘発するように仕向けています。新生児の出会いって、ものすごく大切なんです。
(ただし、新生児期のふれあいがなくても、人間は不思議なことに十分にりっぱなお母さんになれます。そこが猫や山羊とは違うところで、子どもへの愛情なのです)

今は働く女性も多く、お子さんといっしょにいる時間に制約のある人もいますから、その人たちへの社会的なサポートも大事です。
母乳育児も同様です。よいことにちがいはないのですが、なかなか母乳が出ない人もいます。そのようなお母さんの中には母親失格なのかと自信をなくされる方もいますから、そうではないことをまわりの人が言ってあげないといけませんね。
一番難しいのはいいこととわかっても、それができない人をいかにサポートするかということなんです。

生まれてきた赤ちゃんはただ単におっぱい/ミルクをあげてオムツをかえているだけでは大きくなりません。とくに五感の刺激が必要です。見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触る、この5つの刺激です。その刺激を受け、赤ちゃんは成長を促されて感性豊かに発育します。

ふつう、新生児期・乳児期は親が育てるものと思いますね。
しかし、生まれたときからすぐに赤ちゃんは自分で育つ能力を持っています。親が呼びかければ、それに反応しますし、親のニオイがわかり、目をみつめることができます。ですから、お母さんも一方的に育てるのではなく、赤ちゃんの育つ要素を大切にしながら育ててあげてください。

親のしなくちゃいけないことは主に3つあります。
  1.保護して大きく育てること
  2.子どもの持っている能力を伸ばすこと
  3.社会人に育てる
    ということです。
生まれたばかりの赤ちゃんは人間の形をしていても、まだ人間とはいえない野蛮人なのです。その野蛮人を、人間社会に通用するよう人に育てること、これが家庭教育であり、しつけです。
この3つは世の中がどんなに変わろうと、どんなに偉くて立派な先生がなんといおうと不変です。

子どもは発達段階で教えて1回でできるということはまずありません。発達レベルに応じて教えるということが大事です。

子どもを認めるということは話をよく聞くということです。話を聞くというのは、親が結論をいわなくてもいいことなのです。ところがイエスかノーしかいわないお母さんが多いですね。
「なになに買って?」「だめよ!」とか。「遊びたい!」
   「遊んでないで勉強しなさい!」

子どもの話を聞くこととポジティブな言葉を使うということからはじまります。
 「いい子ね、親切ね、やさしいね、頭のよい子ね」
 などがポジティブな言葉です。
 ネガティブな言葉というのは、「ばか、だめな子、いじわるな子」など。
 親は自分の子どもをよくしようと思って、逆にネガティブな言葉を使ってしまうことが多いのですが、ネガティブな言葉を何回も使うと、子ども自身がそう思うようになってしまいます。
 「おれはいじわるといわれるけど、やっぱり、みんなにそういわれるからそうなのかな」とか。
 ところが頭がいいとか、お利口とか素直な子とか、親切な子というと、子ども自身も知らない間にそういう子どもになってくるんです。

子どもが熱中していることを誉めてあげます子どもが絵を描いている。そうしたら、「なにやってるの」と、それを認めてあげるだけでいいのです。

「これ、ママ」と言ったら、「わあ、これママ、嬉しい」
「また描いてね」と言えば、喜んで描きます。
それを鼻がない、めがねがない、耳がないなんて大人の目で批評すると、子どもはなにかやるたびに口だしされるからつまらないと思うのです。伸びる芽を摘むことになってしまいます。
ですから、少しでもいいことがあったら、うまくできたねといって誉めることです。叱るよりも誉めることが子どもを伸ばすコツなんです。

遊びと教育とはどう違うか?

遊びと教育とはどう違うかというと、教育というのは目的があって、その目的を達成しないといけないわけです。強いていろんなことをさせるのが教育です。遊びは結果を期待しないで楽しいことをすることです。
遊びのなかで、いろいろテクニックを学んでいきます。遊びそのものの技能もありますが、人間関係を学ぶ恰好の機会なのです。2人以上の遊びは必ず、お互いにゆずりあったりと、楽しく遊ぶためには一定のルールがあります。それを守りながら、ときに我慢をしながら、集団のなかで遊ぶことで今の人たちに一番足りない、人間関係、社会性を身につけることができるのです。

子どもは不思議なことに年齢に応じて、自分の発達に一番必要なことを熱心にやるという性質を持っています。どうしてそういう能力を持っているかはわからないのですが、それを親が認めて伸ばしてあげると、子どもは能力に応じて親の理想通りに伸びていきます。

小学校時代は成績じゃなくて、問題解決の仕方とか社会への適応性を促した方がいいと思います。AくんもBくんも違っていいという個人差をもっともっと認めてあげるべきです。
 1.社会生活を送るために
 2.豊かな人間性を育ててゆくために 家庭教育・家族の営みは大切なのです。
 
そして家庭での教育には
 1.家庭生活のしつけ
 2.社会生活のしつけ
があり、今の時代、とくに社会性の発達と我慢するということを親が教えないといけないのす。

お話のNAVIGATOR
日本小児保健協会会長 前川 喜平 先生
略歴:昭和 34年 慈恵医大卒
   昭和 35年 慈恵医大小児科大学院
   昭和 40年〜42年6月 米国ウイスコンシン大学小児科、
   ニューヨーク・コロンビア大学小児神経科留学
   昭和 42年7月〜46年2月 埼玉県立小児保健センター相談部長
   昭和 46年3月〜55年3月 国立大蔵病院小児科医長
   昭和 55年4月〜平成11年3月 慈恵医大小児科教授
   現在/日本小児保健協会会長・慈恵医大名誉教授
専門:発達神経学、新生児神経学、小児保健
著書:乳児健診の神経学的発達チェック法(第5版)南山堂 1999・小児の神経と発達の診かた 新興医学出版 1995・今日の乳幼児健診マニュアル 改訂第2版 1997・育児支援とフォローアップマニュアル 金原出版 1999・ハイリスク児の早期保健指導マニュアル 小児医事出版 1997
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